会計ソフトを閉じて、
現場へ

父が税理士で個人事務所を持っていたことから、なんとなく自分も似たような道に進みました。全く同じ税理士でなく、会計士を選んだのは、父とはちょっと違う角度で道を深められるかなと思ったから。経営も、僕だったらもうちょっと上手くやるかもな、なんて不遜なことも思いながら、実際に継ぐかどうかは決め切らないまま資格を取りました。
1社目は大手の監査法人。2社目がColorzです。Colorzに来てからは結構な無茶振りにも応えてきた自負があって(笑)、北から南まで「行ってこい!」と言われれば即「行きます!」。人に会い、現場を見ては、「何が問題の本質だ?」と思考しました。過酷な案件もありますが、「この経験、どうやって将来の事務所経営に活かそうかな」と思えば俄然楽しくなってくる。あ、僕は経営を支えるだけじゃなくて、経営自体に興味があるんだ。そう気づいてから次第にビジョンが明確になり、今は「いずれは父の事務所を継ぐ」と表明し働いています。
ちなみにColorzの入社前は、どんな経験ができそうかなんてほぼ考えていませんでした。入社した理由も、内定が一番早かったから。意思決定が速いのはいいことだな、くらいの印象でした。

いくつの視点で
考えられるか。

とはいえ、最初から相手軸のコンサルができたわけではありません。もちろん、「意見を押し付けてはならない」「自分の考えが100%正しいわけではない」と思う程度の謙虚さはありました。が、いざ人と対峙すると、僕の主張が強くなってしまったり、話を聞きながら内心「でも僕が正しいでしょ」と思っていたり。 Colorzに来て、徐々に変わりました。きっかけは、お客さんの発言から議論の流れが変わり、最終的に僕の想定とは異なる経営判断に至ったこと。しかもその内容が「すごくいい」と思えたことです。そうか、僕の「専門家視点」は、結局視点の一つでしかないのか。視点が変われば結論も動く。ならば、経営者が腹の底から納得した経営判断に至れるかは、どれだけ多くの良い視点を場に出せるかにかかっているのではないか。
以来、常にできるだけ多くの人の価値観、視点、マインドセットを取り込みながら提言するようになりました。もちろん、自分の考えも大事にします。ただし、そのまま相手にぶつけるのではなく、先に「そもそも僕はなんでこう思うんだろう?」と背景を解体し、できるだけ相対化しておくんです。そして相手との間にそっと置いてみて、さらなる意見を引き出す道具として使う。磨かれた視点を行き来し、経営者が自分で選び、納得して進んでいく。その場面に立ち会えるのは、仕事の醍醐味です。

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